<ガーネットの模造ガラス>
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高さが違うカボション・カットの宝石が2つならんでいます。見た目は2つともガーネットのように見えます。
果たしてどうでしょうか?


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右の宝石をひっくり返して見ると・・・

裏側は平らではないですね。このような裏面は凹面のカットをホロー・カボションカット(Hollow Cabochon Cut)といいます。

色が濃い宝石の場合に厚みを薄くし、光の通りを少しでも良くし色を綺麗に見せたいときに行われるカットです。
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しかし、高価な宝石だと重量が少なくなるため、安価な宝石によく用いられるカットです。
と 言うことは・・・
正解はアルマンディン・ガーネットです。ホロー・カボションカットはアルマンディン・ガーネットのほかに安価な濃色のヒスイにも見かけられます。


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もうひとつの宝石はサイドからよく観察してみると・・・
フチがふっくらしているのがわかりますか。
これはガラスの特徴です。人造ガラスの場合はコストをなるべく、かけたくないため型に流し込み製造します。そのため型から取り外した冷却後に少し縮み、その結果、フチがふっくらとしてしまいます。もちろん例えガラスでもカットを施した人造ガラスであればこのようなふちがふっくらした輪郭は確認できません。
ですから念のために拡大検査をしてガラスの証拠を見つけなければなりません。
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この検査石の場合ハ10倍のルーペがあれば簡単に確認できます。
内部に気泡があります。やっぱりガラスでした。
模造の人造ガラスはいろいろな宝石に似せてでまわっています。この模造ガラスもアンティーク風の製品にセットされていたものです。


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鑑別で大切なことは興味を持つことです。今回の鑑別ではガラスの特徴をよく知ることが大切です。ガラスは安価に製造されますし透明にも半透明にも不透明にもなります。ガラスの中に他の物質を入れることにより特殊効果を持つことも出来ます。何よりすべての色の製造が可能です。ガラスに模造できない宝石はないといえるでしょう。
宝石風に見せかけたガラスの気泡には丸いのばかりではありません。長細い気泡も在れば少し変形した気泡もあります。光の関係で見え方によってはドーナツのような形に見えることもあります。
ガラス製品をよく観察するといいかもしれませんね。


その他の鑑別方法 : ガラスの鑑別、張り合わせ宝石、模造宝石