<パール 6月の誕生石>

真珠はわが国が世界に誇る宝石です。それは、人魚の涙、月の雫と形容されるように西洋の国が東洋に対する神秘的な憧れを含めて、真珠を言い表しました。真珠は基本的に貝殻を持つ貝であればどのようなものでも生み出されますが、宝石真珠としての条件を満たした真珠貝は限られています。
アコヤ貝、シロチョウ貝、クロチョウ貝、マベ貝、イケチョウ貝などの貝によって、養殖され真珠が生み出されます

しかし、生み出された真珠のすべてが宝石品質になる訳ではなくその何分の一に限られ、さらに『花珠』と呼ばれる美しい珠のものはほんのわずかしか採取されません。
色はホワイト。ピンク、イエロー、ブルー、ブラック、ゴールデンなどがあり、一般的にはピンク形のものが好まれていますが、黒蝶真珠やゴールデン真珠も人気を集めています。

真珠と鉱物

真珠は、ダイアイモンドやルビー、サファイア、ベリル、クリソベリルといった様な宝石とは大きく異なります。上記の宝石たちは、地球が作り出した宝石です。真珠は私達と同じ生物が作り出した宝石なのです。

地球の生み出す鉱物である他の宝石は、原石のままでは、その美しさを十分に発揮できませんが、真珠は貝の中から取り出されたとき人間の手を何も加えなくても真珠は人を魅了する美しさがあります。
ですから、研磨技術の発達していない古代から、真珠はたいへんに珍重されていました。

真珠の出来方

真珠はもともと天然の貝が偶然に産出するものでしたが、その真珠ができる仕組みを研究し人間の手で真珠を意図的に成長させる技法が
今日では確立しています。

前者の様な自然の偶然の産物である真珠を「天然真珠(naturalpearl)」人間の手によって育てられて真珠を「養殖真珠(cultured、pearl)」と呼びます。現在、市場に出回っている真珠の内、その大半は養殖真珠です。
養殖真珠は、鉱物で言うところの合成とは全く異なります。養殖真珠は真珠そのものを作り出すのではなく、人間の手によって貝に真珠を作り出すきっかけを与えてあげているに過ぎません。

天然真珠と養殖真珠の出来る課程は以下の様になります。天然真珠の生成は、貝に外部からの異物が入り込むことにより始まります。
貝に入った異物が貝殻(shell)と外套膜(mantle)と呼ばれる組織の間に入り込むと外套膜の上皮細胞がこれを取り込もうとします。
外套膜は完全に異物を取り込み、袋状になります。これを真珠袋と呼びます。

真珠袋を形成した外套膜は、袋の内側に向かって、つまり異物の方向にいくつもの層を形成していきます。これを真珠層と呼びます。

こうしていくつもの層が異物のまわりに取り囲んで出来た物が真珠になります。養殖真珠は、天然真珠でいうところの「異物が入り込む」というところを人間の手で行いますが、真珠の出来るまでの課程が少し天然真珠と異なります。
養殖では、他の貝殻から作った球状の貝殻(核)を挿入しますが、この核と一緒に小さく切断した外套膜の小片(ピース)を挿入します。
挿入する場所も、殻と外套膜の間ではなく、生殖器官の中に挿入します。するとピースが一緒に挿入された核を取り囲みます

そして核の回りに真珠層を形成していくのです。重要なのは、ピースを一緒に挿入することです。核だけを挿入しても真珠層を形成するピースがないと、真珠はできません。養殖真珠で球状の核を挿入する理由は、球状の真珠を形成したいからに他なりません。
極論からすると、核を挿入しなくても、ピースのみで真珠を形成することはできます。しかし、その場合は核がないために一定の大きさになるのに時間がかかり、更にきれいな球状になりません。この様な理由から核を挿入するのです。
核を挿入することによって、きれいな球状の真珠をたくさん産出することが出来るのです。

真珠養殖の行程
p_028b
A. 稚貝の採苗と育成

  1. まず稚貝を確保します。
  2. 貝が受精すると稚貝となって2~3週間海の中を漂った後、適当な場所に付着します。
  3. この時期を狙って杉の葉などを海中に沈め、そこに付着させるようにします。
  4. こうして稚貝を確保し、一定の大きさになるまで育成します。

B. 仕立て

成長した貝に核を挿入する前に、仕立てと呼ばれる作業を行います。貝にとって核の挿入はたいへんなショックで、これが原因で死亡したり
また核を吐き出したりします。これを防ぐために貝の生態活動を弱らせ、核を挿入する時のショックを和らげるために行います。
水流の少ない篭に長時間貝を入れておくと、活動が弱まり、また生殖巣の発達も抑制できます。

C. 挿核手術

挿核手術は、慎重になおかつ素早く行います。これに時間がかかると貝が弱まります。専用の器具で貝殻を少し開け、内蔵にメスを入れて、そこから核とヒースを生殖器内に一緒に挿入します。挿核手術は通常春か秋に行われます。

D. 養生と養殖

挿核手術を施された貝は、すぐに漁場に出さず、1月程度陸地に近い筏に、特殊な篭の中に入れて吊しておきます。
その後沖合いの漁場に移し、半年から2年間位かけて、真珠を養殖していきます。この間、貝の表面についたフジツボなどを取り除いたりする作業を行います。

E. 浜揚げ

真珠が十分に成長したら、真珠を採集します。真珠の採集は通常11月から1月の寒い時期に行われます。これは真珠層の形成が夏の時期のほうが早く、また冬には真珠の光沢(いわゆる「テリ」)が良くなるためと言われています。

母貝に適する条件
  1. 美しい真珠層
  2. 養殖するにあたって耐えられること
  3. 量的な問題(飼育、採集できるかどうか)

上記の条件を満たした貝が真珠貝になります。

真珠が採れる貝

アコヤ貝(pinctada martensi, akoya pearl oyster)

日本で最も一般的に用いられる貝、いわゆる和珠はこの貝から採れます。光沢が美しいが、大きなものは採れず、直径10mmを超える物はまれです。
日本の三重県、愛媛県、長崎県などで養殖されています。

シロチョウ貝(pinctada maxima, silver lipped pearl oyster, black lipped pearl oyster)

真珠を作る貝の中でも大型の貝、母貝が大きい分、真珠も大きめのものが採れ、13mm以上の大きい珠が採れます。シロチョウ貝には貝の内側の真珠層が銀色に縁取られた。「シルバー・リップ(silver lip)」と金色に縁取られた。「ゴールド・リップ(901dlip)」の2種類があり、この色がそのまま真珠の色として表れます。
主にオーストラリアなどの南洋で養殖されています。

クロチョウ貝(pinctada margeritifera, black lipped pearl oyster)
p_029aa

貝殻の内側の真珠層の縁が黒色に縁取られているため
「ブラック・リップ(black lip)」とも呼ばれます。
この真珠から黒真珠が採れます。
黒真珠の最高の色合いを「ピーコック・グリーン(peacock green)」と呼びます。
主にタヒチで養殖されています。

マベ貝(pteria penguin, mabe pearl oyster)

半円真珠の養殖で有名な貝です。半円真珠のことを全てマベパールと呼ぶ方がいますが、それは誤りで、マベ貝以外の貝からも半円真珠は採れます。

イケチョウ貝(hyriopsis schlegelli)

湖水真珠/湖水パール(淡水真珠)の母貝として有名な貝です。通常は核を挿入せずピースだけを挿入するいわゆる無核真珠を養殖します。
日本の琵琶湖が養殖場として有名です。

真珠の色々な単位

重さ 「匁(モンメ)」

サイズ 「m/m」

長さユニフォーム

同一といっても中心部のサイズはやや大きめなので、チョーカー3本ずらずら並べてロープにすると変になるので注意が必要です。
1.チョーカー(14インチ)
2.プリンセス(16~17インチ)
3.マチネー(21インチ)
4.オペラ(28インチ)
5.ロープ(42インチ)
1インチ=2.54ct、覚え方→7の倍数

その他…コンバーチブル・タイプ(ネックレス&プレス)

グラデュエーション(42cmで真珠の大きさがだんだん変化する)

ツイスト(小粒の真珠の連を数本ねじって使うもの)

カクテル(パールの中に他の宝石を組み入れたもの)

レース(小粒真珠を平らに編んでレースにしてある)

真珠の取り扱い

真珠はとてもデリケートな宝石なのです。
他の宝石と一緒に保存すると傷だらけになるので注意が必要です。
また、真珠は酸に大変弱く、汗や香水などが付着したままにしておくと表面が曇ってきます。
汗や香水などが付いたら、すぐに拭き取ることが大切です。
物にぶつけたりしないように大切に扱ってください。
またご使用後、汗や汚れをふき取るといったケアをする事が永くお使いいただくための秘訣です。

処 理

和珠でブルーやグレー系の真珠は取れる量が少なく、染料や照射によって色を改変したものがあります。

参照 : 湖水真珠(湖水パール)のサイトも合わせてご覧ください。