ネフライト
ネフライトといえば普通はグリーンを思い浮かべますがその他にもホワイト、ブラックがあります。本来は純粋な白いネフライトが一番貴重でしたが、現在ではグリーンがネフライトの主役になっています。そのため染めたネフライトが市場に出廻っているので注意が必要です。
ネフライトの名称の由来でこんな話があります。昔メキシコからペルーにいた原住民はこのネフライトを温めてお腹につけていましたいわゆる「温石」です。普通の石は保温が悪いのですがネフライトは集合体であるため保温が良いわけです。
16世紀 その地域を侵略したスペイン人がそれを見て「腹の石」すなわち現在の名称「シェード」となりまた「腎臓の石」の意味から、「ネフライト」と呼ばれるようになりました。このことからシェードとは本来ネフライトのことを意味していますが、今ではネフライトとジェダイトに用いられています。
人はお腹の痛い時自然にお腹に手をあてます。これは手から赤外線が出ているため治療に役だっています。「手当て」という言葉がそのことを物語っています。ネフライトもまた同様で加熱することにより遠赤外線が出ます。原住民がその事を知っていたどうかはさだかではありませんが、ネフライトは痛みを和らげる効果があることを知っていたのは想像にかたくないでしょう。
さてネフライトは集合体ですと説明しましたが、ジェダイトの粒状組織に対して同じように見えるネフライトは繊維状組織になっています。両者とも靭性は強い石ですが繊維状組織からなっているネフライトの方がより丈夫です。その丈夫さを利用して古代では「斧」に使用していたためにアックス・ストーンとも呼ばれています。
また中国では緻密な彫りができるためにネフライトを使った彫刻加工が古くから盛んでした。中国ではネフライトを「玉」と呼びこうした独自の玉文化が受け継がれ歴史を刻んできました。
1784年ビルマよりジェダイドが玉文化の中に入る事により中国がヒスイ加工の中心となった訳です。すなわち玉(ネフライト)文化の技術があればこそ中国でヒスイ文化が開いたといえるでしょう。
ネフライトは角閃石,ジェダイトは輝石からなっています。角閃石が目にみえないほどの細かい結晶が絡み合ったものがネフライトになる訳です。また成長過程において石綿をとりこんでいるものをカットでうまくひきだせばネフライトキャッツアイになります。従ってジェダイトにはキャッツアイは存在しません。
メタヒスイ
メタヒスイはヨーロッパではアーティフィシャル・シェードとも呼ばれています。(人工の、再生の)70~80年前に理学博士の飯盛里安氏が製造しメタリック(工業用の)という意味から崎川範行氏が命名しました。この人工石はガラスの中に結晶するものすなわち晶化剤などの薬品を入れて製造します。
ガラスの中に繊維状の結晶を析出させることによりジェダイトの外観に似た半透明な人工ガラスができます。見た目はジェダイトに似ていますが、拡大で見ればその違いは歴然です。
< ひすい(ジェード)とは>
「ヒスイ」・「ひすい」・「ジェード」と呼ばれている宝石名は1種類の宝石を指しているのではなくて、ジェダイトとネフライトの2種類の宝石を意味しています。どちらも緑色の半透明石が有名なためこの2つの宝石(鉱物)はよく間違われますが全く異なった宝石です。俗に本翡翠と呼ばれている宝石はジェダイトを指します。
翡翠といえば緑色の半透明~不透明の宝石を想像しますが、実は『翡』は赤『翠』は緑を意味するように、白、紫、赤、褐、黒、青、黄、灰とカラーバリエーションに富んでいます。このうち緑色のジェダイト、紫色のラベンダージェダイトが宝石店の店頭を飾ることが多いようです。