<張り合わせ石とは>

模造石のなかでも面白い模造石はこの『張り合わせ石』ではないでしょうか。駆り合わせ石とは、2つ以上の天然石又はイミテーションを組み合わせ接着している「宝石?」のことです。その目的は高価な天然宝石に似せることにあります。従って、故意に作ろうと思えばその組み合わせは無限にありますが、その目的に沿った代表的な『張り合わせ石』はある程度限られてきます。
張り合わせ石には、2つの素材からなる『ダブレット』3つの素材からなる『トリプレット』があります。もちろんその組み合わせは『模造石』本来の目的に沿った組み合わせです。
その組み合わせには、それぞれそれなりのこだわりと理由があります。ですから、張り合わせ石を見ながら何故その組み合わせなのかを考えるのも勉強になります。


<ガーネット・トップ・ダブレット>

パライバ・トルマリン風
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上記の宝石は鮮やかな蛍光色ブルーのパライバ・トルマリンではありません。パライバカラーのアパタイトでもありません。答えはガラスです。しかしながら、普通のガラスでもありません。クラウン部の一部は天然ガーネットの『張り合わせ石(ダブレット)』です。ガラスは色々な色になりますからどのような宝石の模造石(張り合わせ石)にもなります。

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左の写真が張り合わせ部分です。このような『張り合わせ石』をガーネット・トップ・ダブレットといいます。何故、このような面倒くさいダブレットをつくったのか? 普通のガラスの方が簡単なのにと思ってしまいますが、そこはそれ いろいろと訳があります。
クラウン部の一部が薄くスライスされた天然アルマンディン・ガーネットですから、色の影響はあまりなくかえって渋くなります。
また、アルマンディン・ガーネット特有の天然の内包物がそれらしく演出します。もちろん ガーネットはガラスより硬度が高いわけですから稜線の磨耗もある程度防げます。
張り合わせ箇所はクラウン部とパビリオン部の境目であるガードル部分と言うようにはっきりとはわかりません。どの部分で張り合わせているのかは検査する石の全体をよくチェックしましょう。
何故この模造石を作るのかはズバリだましのテクニックです。しかし、見れば見るほどよく出来た模造石です。

シトリン風
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普通のダブレットの張り合わせ石は上部(クラウン部分)と下部(パビリオン部分)の組み合わせです。けれども、この張り合わせ石のガーネット・トップ・ダブレットはそこだけを確認するだけでは見逃します。写真の黄色いルースをよく確認して下さい。テーブルのふちのうっすらと白っぽいラインがあるのがわかりますか?
そのラインこそが張り合わせ箇所です。本体はガラスですがガラスだと使用していれば磨耗してきましがガーネットを張り付けることによりその弱点が解消されるわけです。

では次のガーネット・トップ・ダブレットの張り合わせ箇所はどこでしょうか?
ゆっくりとご覧下さい。

アメシスト風
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ピンク・サファイア風
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グリーン・トルマリン風
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エメラルド風
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