琥珀 (amber)
琥珀っていったいなんでしょう。琥珀を定義すれば「樹脂化石」でしょうか。では、樹脂が化石になり琥珀と呼べるようになるには、どのくらいの時間が必要なのでしょうか。気の遠くなるような時間を琥珀色のウイスキーを飲みながら考えてみたいと思います。
日本の千葉県銚子市では、一億一千万年前の琥珀が産出されています。シベリアでは、約一億年前さらに岩手県久慈市(7千万年~8千万年前)ロシア(3千万年前)、ドミニカ共和国(一千万年~二千万年)岐阜県瑞浪市(10万年前)が有名な産地です。そして、現代にも樹脂は存在します。
このように考えていくと一億年前から現代まで琥珀は存在することになります。ここで、問題になるのが琥珀と樹脂のボーダーラインです
一億年前の呼格と10万年前の琥珀・・・
やはり琥珀色のウイスキーでも飲みながら考えましょう。
琥珀とコーパル
『コーパル』って、聞いたことありますか?コーパルの語源メキシコ語のコパリ(copalli)が語源で樹脂の総称の意味です。コーパルは『若い琥珀』に付けられた名称です。若いといっても化石は化石ですから一千万年以上はたっています。コーパルのボーダーラインが琥珀のボーダーラインにもなります。見た目は琥珀もコーパルもそんなに違いがないし、処理していない天然のもであればそんなに気にしなくても
いいのですがその違いには大きな違いがあります。
写真はカタツムリの彫刻加工をしているコーパルです。(上からの写真でわかりにくいですが)琥珀で販売していたけれど手のひらに乗せるのにちょうどいいサイズです。すこし表面が『ぬるっ』としているのでほんとうにカタツムリみたいです。琥珀にまでなりきっていないのをコーパルといいます。
琥珀の若輩者ですね。
若輩者ですから数年もそっと置いておくとヒビ割れてきます。写真のこの琥珀で販売していたコーパルも顕微鏡で見るとジワジワきています。
虫入り琥珀(コーパル)
右の写真はドミニカ産の虫入りコハクです。蚊じゃーなくてハエみたいです。好物の樹液に包まれて死んでいくって、「運がいいのか悪いのか」悩んでしまいます。
虫の部分を拡大してみました。琥珀に入ってもう1000~2000万年ずっとこの格好のままです。考えたらやっぱりすごいな、ずっと同じスタイルを貫き通すって!!
虫入りコハクは腐敗しないで琥珀の中に、保存されている興味深い宝石です。琥珀の中に入っている虫は時代とともに琥珀に同化してやがて透明になっていきます。琥珀は長い年月をかけていまの姿になっています。
もちろんコーパルも人間の時間で考えると長い年月をかけていますが少し地上へ出てくるのが早かったのかもしれません。コーパルはまだ完全ではないので、時間が経てば表面にひび割れが生じてきます。これを経年変化『経時変化』『経年変化』 といいます。
まだ若い琥珀コーパルは宝石品質のコハクに比べて、『経時変化』『経年変化』が顕著な宝石です。人間の時間で『経時変化』『経年変化』がおきるかどうかが琥珀とコーパルのボーダーラインです。
『虫入り琥珀』があれば、ルーペで見てください。うっすらヒビがあればコーパルかもしれません。
人は歳を重ねると落ち着いてきます。どうやら、琥珀も落ち着いてくるようです。
処理
琥珀は樹脂ですから色々な処理が可能です。粉になった琥珀を固めることも可能ですし、プラスチックを混入することも可能です。琥珀はだれでも簡単に処理、加工ができる宝石(化石)と思っていたほうがいいでしょう。
注意
熱に弱いためストーブ、ドライアーに気をつけないといけません。また、琥珀は汚れたからとアルコール類を使って拭くととんでもないことになります。琥珀はアルコール類およびシンナーで拭くのは禁物です。