クォーツ・水晶(QUARTZ)

水晶は世界各国から産出し、最も人々に慣れ親しまれた宝石です。種類も多くアメシスト(紫水晶)、シトリン(黄水晶)、スモーキークォーツ(煙水晶)、ローズクォーツ、ロッククリスタル、レモンクォーツなどがあります。中でもアメシストは古くから親しまれており、西洋では身につけると『酒に酔わない』『戦いにおいて傷を防ぐ』などといわれており、神話にも数多く登場しています。日本でも紫という色から高貴なものとして扱われてきました。産地は、ブラジル、南アフリカ、メキシコ、マダガスカルなどが有名です。

◇ クォーツの分類
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石英質(Sio2)の宝石は透明な宝石である水晶(クォーツ)のグループと半透明であるメノウ(アゲート)に分類されます。さらに水晶(クォーツ)は色と特殊効果によって分類されます。

色による分類

◇ ロック・クリスタル

クリスタルはギリシャ語で『透明な氷』の意味があります。ロック・クリスタルはその名前の通り永遠に解けない透明の氷の意味なのです。
無色透明の水晶名をロック・クリスタルと言います。

◇ アメシスト

2月の誕生石にもなっているアメシストは紫色透明です。ロック・クリスタルがアメシストになった有名な物語があります。物語になるほどアメシストは古くから親しまれてきた宝石と言えるでしょう。

◇ シトリン

黄色の透明の水晶をシトリンまたはシトリン・クォーツといいます。よくシトリン・トパーズと呼んでいる人がいますが、トパーズとは全く異なる鉱物なので良い言い方ではないです。勘違いをしてしまう恐れがあるためこの名は使用しないほうがいいでしょう。

◇ スモーキー・クォーツ

茶色透明のクォーツをスモーキー・クォーツといいます。スモーキー・トパーズとかスコッチ・クォーツとも呼ばれていますが、このような呼び名も誤称ですから使用しないほうがいいです。

◇ ローズ・クォーツ
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ピンク色の透明から半透明のクォーツをローズ・クォーツといいます。しかし、そのほとんどが塊状で産出のため透明石はゴク僅かで半透明はほとんどです。従って透明に近くなれば近いほど高価になります。塊状で産出されるローズ・クォーツは、カービング(彫刻・写真))などの加工も多く見られます。スターの場合は半透明がより鮮明に現れる利点もあります。

◇ バイカラー・クォーツ

アメシストとシトリンの2色を確認できるクォーツをバイカラー・クォーツといいます。またはアメシストとシトリンの宝石名をもじってアメトリンともいいます。

※ アメトリン

紫水晶(アメシスト)と黄水晶(シトリン)の2つの色を持っているところから付けられた宝石名です。本来はバイカラー・クォーツとかパーティーカラード・クォーツともよばれていますがこの場合の色の組み合わせは問いません。『アメトリン』とは水晶の代表する色であるアメシストとシトリンの2色を持った水晶にのみつけられた愛称のような宝石名です。比較的お手ごろな宝石ですから大きさも楽しめる魅力的な宝石です。
特殊効果による分類(1)

◇ アイリス・クォーツ

イリデッセンスの特殊効果をもつクォーツをアイリス・クォーツと呼んでいます。アイリス・クォーツのイリデッセンスの原因はクォーツの組織によるものが本来のアイリス・クォーツであると私は思っていますが、単なるワレによる虹色が確認できることからアイリス・クォーツと呼ばれています。しかし、その両者の違いは天と地ほどの違いだと私は思っています。

◇ クォーツ・キャッツアイ

キャッツアイ効果をもつクォーツをクォーツ・キャッツアイと呼んでいる。主にローズ・クォーツ、スモーキー・クォーツに多く、ロック・クリスタルにもこの効果はあるが無色透明のため、その効果は鮮明ではありません。

◇ スター・クォーツ
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スター効果を持つクォーツをスター・クォーツ(写真)とよんでいます。キャッツ同様にローズ・クォーツ、スモーキー・クォーツに多くロック・クリスタルにもこの効果はあるが無色透明のため効果は鮮明ではないが、裏に板(別素材)を張り合わせたダブレットがある赤い別素材を張るあわせればスタールビーに青い別素材を張るあわせればスターサファイアに似せているため注意が必要です。

特殊効果による分類(2)

◇ タイガー・アイ
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タイガー・アイは元々の鉱物は石綿です。繊維状の石綿の組織を残したまま中味が石英のSio2に変わったのがタイガー・アイと言います。ですから繊維状の組織がある訳ですからキャッツがでます。クォーツに分類するか?石綿に分類するか?メノウに分類するか?悩んでしまうありふれた鉱物ですがとってもユニークな鉱物です。

◇ アベンチュリン・クォーツ

インクルージョンである緑色の雲母などによってアベンチュリン効果(写真)を持つクォーツをアベンチュリン・クォーツといいますが、アベンチュリン・クォーツは純粋なクォーツの仲間ではなくクオーツァイトという鉱物です。アベンチュリン・クォーツもクォーツに分類していいのか悩んでしまう宝石です。

インクルージョンによる分類

◇ ルチレイテッド・クォーツ
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細長いルチルの鉱物がインクルージョンになっているクォーツをルチレイテッド・クォーツ(写真)といいます。ヴィーナスヘアー・ストーンもしくはキューピットの矢と言うニックネームも付けられています。

◇ トルマリネーテッド・クォーツ

黒っぽい細長いトルマリンの鉱物がインクルージョンになっているクォーツをトルマリネーテッド・クォーツといいます。ルチレイテッド・クォーツ、トルマリネーテッド・クォーツをまとめて針入り水晶ともいいます。

◇ 草入り水晶

緑色の鉱物がインクルージョンになっているクォーツを草入り水晶といいます。このインクルージョンは主に緑泥石や角閃石です
このような鉱物は水晶に取り込まれると草のように見えます。草入り水晶といっても本当の草は入りません。

◇ デンドリティク・クォーツ

酸化マンガンがインクルージョンになって、その模様が木の枝のように見えるいるクォーツをデンドリティク・クォーツといいます。

◇ アメシスト,シトリン,スモーキー・クォーツ,クォーツ・グループの取り扱い

比較的耐久性のある石なので特に注意することなく取り扱えます。しかし長年使用すると次第に光沢も失われてくるのでその時は専門のプロに相談してリフレッシュしてもらいましょう。汚れが溜まってきたら中性洗剤を溶かしたぬるま湯につけ歯ブラシなどで磨けば輝きが戻ります。

アメシスト,シトリン,スモーキー・クォーツの処 理人工的に色を改変したものがあります。