<淡水真珠ではなく湖水真珠と呼ばれる真珠>

  1. 淡水真珠(淡水パール)と湖水真珠(湖水パール)は同じ真珠だと思っていませんか?
  2. 安価な真珠の代名詞だと思っていませんか?
  3. アクセサリー用のシワシワの真珠だと思っていませんか?
  4. 中国から大量に入って来るありふれた真珠だと思っていませんか?

この様に思っていませんか?

◇ 真珠について
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真珠は、他の宝石と違い研磨技術を必要とすることなくそのままの状態ですでに美しく、簡単な加工技術で装飾品として使用できる為、その歴史は非常に古く、日本においては、奈良時代にはすでに真珠を「しらたま」と呼んでいた記録が残されています。また、西洋の国々は東洋に対する神秘的な憧れを込めて、「人魚の涙」・「月の雫」と形容しました。
現在、市場に流通している真珠は、人類が初めて目にした天然真珠は非常に稀で、そのほとんどが養殖真珠です。
しかし、この養殖技術のおかげで誰もが真珠の「温かみのある光」を楽しめる事ができるようになりました。
本来、真珠は全ての貝からできます。よく目にするシジミ貝、アサリ貝からももちろん真珠がつくれます。ひょっとして、お味噌汁を口にして「じゃりっ」としたものは、砂ではなく真珠なのかも知れません。しかし、残念ながら装飾品にはなりえません。なぜなら、それらの真珠は美しさに欠けるからです。
真珠貝に選ばれた貝は、その貝殻の内側(真珠層)がとても美しい外観を持っています。つまり貝殻の美しい貝は美しい真珠を産み出す可能性を持っています。真珠貝になりえる条件はいろいろありますが、まず美しい真珠層を有している事が第一条件になります。
現在、養殖真珠に用いられる母貝には、アコヤ貝を始め白蝶貝、黒蝶貝、マベ貝、池蝶貝などがあります。これらの真珠は養殖に適し、さらに真珠層の美しさを兼ね揃えています。そして、それぞれの真珠貝は独自の美しさを持っています。養殖真珠の生産は人の並大抵ではない苦労から産まれてきますが、真珠の美しさを大きく左右するのは、「母貝」そのものなのです。


◇ 淡水真珠から湖水真珠へ
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真珠には海水産と淡水産がありますが、海水産に代表されるアコヤ真珠・白蝶真珠・黒蝶真珠はとても高級感があり宝石としてのイメージも高いものに比べ淡水産はどちらかと言うと宝石として扱われるより、アクセサリー感覚として扱われ決して高級なイメージではありませんでした。事実、淡水真珠は、シワ珠(写真)で変形が多く小粒でお米に似ているためライスパールと呼ばれているほどです。
この様な淡水真珠は、褶紋冠(シュウモンカン)貝という母貝から生産していました。
この貝は、一度に多くの真珠の生産が可能なのですが、この貝が産み出す真珠は先ほど述べたようにあまり良い真珠とは、言えませんでした。従って、海水産は高級品で淡水産は安物と言うイメージが、一般に広まってしまいました。


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ところが、1990年代に入って「ヒレイケチョウガイ」(中国名:三角帆貝)と言う真珠母貝の養殖に成功し、生産者の努力と研究が、三角帆貝の美しい真珠組織を引き出し、アコヤ真珠に肩を並べる程の良質の真珠が誕生しました。(写真)
真珠業界の特に淡水真珠を扱っていた人々は、この三角帆貝から誕生した新しい真珠を『湖水真珠』と名付けました。


◇ 色について(1)
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黒真珠は、ピーコックカラーと呼ばれる緑色のテリをした黒、アコヤ真珠は、ほんのりピンクのテリをした白色、南洋真珠は、純白の色合い、と言う様にそれぞれの真珠には、それぞれの色のベースがあります。
そして、そのベースの色からかけ離れた色もまた楽しまれてきました。例えば、黒真珠は、薄いグレ-からチョコレート色、アコヤ真珠はイエロー、ブルー、南洋真珠はゴールデンなどです。このような、カラーバラエティーも楽しめる海水産真珠に比べ従来の淡水真珠は、染色が多く本来の色を楽しむと言う考えからは、程遠いものでした。
現在、母貝として使用されている三角帆貝には、驚くほどのカラーバラエティーがあります。勿論、染色ではなく天然の色として存在します。ホワイトを初め、オレンジ、パープル、ピンク、ゴールドなど細かく分類すればきりがないぐらいです。
特にほかの真珠では見られないのが、メタリック系です。
これが、本当に天然の真珠の色なのかと疑うほどです。これまでの、淡水真珠のカラーイメージではなく、湖水真珠は、新しいナチュラルカラーの魅力として海水産真珠以上に我々を楽しましてくれるようになりました。


◇ 色について(2)
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湖水真珠は、色の範囲が広く我々を楽しませてくれるには充分過ぎるほどあります。ですから、洋服に合せて楽しむことも、ジュエリーとしてデザインを楽しむこともできます。ひとつひとつの真珠としては、申し分ない真珠ですが、ひとつだけ難点があります。それは、連相です。
ネックレスの場合は、多くの珠を集めて色・形・テリ・大きさを揃えて連を組むわけですから、大変な作業になります。天然の色の範囲が広すぎると微妙な色の変化がかえって厄介な問題になります。
ですから、連を組む作業は、膨大な量の真珠が必要になり、時間も要します。
それでも、カラー真珠の場合は、どうしても合せられにくいのが現状です。

湖水真珠の場合は、白系のネックレス(写真)はともかくファンシーカラーの場合は、連相にこだわるよりナチュラルカラーがおりなす不思議な魅力を楽しむ方が自然なこだわりかも知れません。
なぜなら、ジュエリーは宝石の本来の魅力を引き出し身に付けるものですから・・・

◇ 色についてのまとめ

多彩な色がある・・・主な色

オレンジ系・・・・・・・・60~70%
パープル(ワイン)系・・・10~20%
ホワイト系・・・・・・・・10~20%

特殊な光沢・・・ピーコック調(ブルー・グリーン・ワイン)

孔雀の羽根に例えられる様な輝き方
・・・メタリック調(イエロー・ゴールド)

多彩な色・特殊な光沢が楽しめる湖水真珠は、これまでの真珠の枠を超えた感覚を持つ宝石といえるでしょう。
調色を施し、ある程度色調を揃えてから「連相」を組んでいるアコヤ真珠と違い、多少「連相」がスッキリしないのは、天然色のご愛嬌と思えます。

◇ 色についての考察(色の要因)

  1. 養殖母貝の個体差
  2. 挿入ピースを採った貝の個体差
  3. 貝の年齢
  4. 貝の体調
  5. 母貝そのものの要因(環境の調整・母貝の改良をおこなっている)
  6. 水質・日光・栄養状態などの生活環境・自然環境

◇ 処理

白系は漂白されたのもがほとんどで、問題は過度の漂白加工が行われていると、珠の劣化が著しいことです。光沢の劣るものは、ワックスでコーティングした加工が行われています。色のはっきりした珠は、ナチュラルで生かす方向で選別が行われていますが、湖水真珠は真珠層だけで真珠を形成しています。その為、成長するまでに永い年月を要します。その間、漁場をかえたり、環境をかえたりする為に真珠の色や巻きの具合がかわります。だから、なんとも言えない中間色や濃い色の真珠が産まれます。


◇ 形について
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真珠は、「真円であればあるほど高価な真珠である」というのを聞いたことがあると思います。いわゆる「八方ころがし」と、言われているものです。事実、その通りですが、そこには、ひとつ条件があります。それは、真珠層がしっかりと巻かれていることです。
(写真の真珠は真珠層がうす巻きのため真珠層が剥がれて中の核が見えています)

例えば、アコヤ真珠の場合、貝殻を丸く削ったものを「核」として母貝に挿入しその核のまわりに真珠層が巻かれる訳ですから「薄巻き」であれば、有るほど「核」の形に近く丸くて当たり前なのです。それを真円の「八方ころがし」だから高価であると言うのは、おかしな話です。 真珠層がしっかり巻かれていてこそ価値ある「八方ころがし」と言える訳です。
では、湖水真珠はどうでしょう。
湖水真珠には、アコヤ真珠にある「核」は存在しません、真珠そのものが、真珠層なのです。

極端な話、アコヤ真珠は、表面のみのハガキ程の真珠層に対して、湖水真珠は、7mmなら7㎜、8㎜なら8㎜その全てが、真珠層です。
「丸い核」を挿入しても真珠層が厚くなればなる程、ラウンドを維持するのは、困難であることを考えると、湖水真珠のすべてが真珠層である湖水真珠のラウンドはいかに稀少かがわかって頂けると思います。

ラウンド以外の形は、アコヤ真珠と同様に多種多様です。どちらかと言えば無核真珠である湖水真珠は、真円をつくるのは不得意ですから、変形真珠にこそ湖水真珠の面白さがあるのかも知れません。核が存在しないぶん真珠層が自由に成長するためデザイナーにとっては、創造をかきたてる様な形に出会うのも湖水真珠の魅力と言えるでしょう。


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  1. 有核は、丸い真珠の確立が高い
  2. 無核は、丸い真珠をつくるのが不得意
  3. 真珠層のないものは、丸い真珠はあたりまえ
  4. 丸い真珠は、高価なのは、真珠層があってこそ
  5. 湖水真珠は100%真珠層

桃・栗・3年・・柿8年
アコヤ1~2年・湖水4~5年・10㎜UPは柿ぐらいの成長期間が必要です。

真珠のサイト合わせてご覧ください。