あかざわひろしの宝石人VOL.2
(Hiroshi Akazawa)
ジルコン
歳月により色が変わるジルコン ジルコンについてもう少し詳しくお話したいと思います。
普通に見られるジルコンは無色透明なものが多いのですが、実はこれは人工的に熱処理をした結果なのです。(このことも偽者イメージを与えたのかもしれません。よく見かけるジルコンは無色、青ですが、その他に淡黄、黄、褐、赤、褐緑、緑とバラエティに富んでいます。 色については無色といえどもダイヤモンドのようにすんだ無色ではなくなんとなく肉眼で濁っているように見受けられます。
これはジルコン自体に放射性元素を含んでいるため(といっても人体に影響はありません)に起こる現象です。またこの放射性元素を含んでいるために長い歳月をかけ、ジルコン自体の内部のバランスが崩れ特別な光の吸収が起こり、人間の目に先ほど述べた色が確認されます。
(これをメタミクト化と言います) 先程述べた色の順番はその歳月の順です。
無色→青→淡黄→黄→褐→赤→褐緑→緑 となります。
赤~緑は美しいため宝石としての地位を与えてもらってもいいように思えます。
なかなかユニークな宝石でしょう?ジルコンは。。。
人も。。。時がたてば。。ただ。。。老いて行くだけではつまらないですね。
時がたてばたつほどジルコンのように内面から美しくなっていきたいものです。
心しずかに。。。まろやかに。。まろやかに。。。
*予断ですが、時代と共に内部が破壊されていくわけですから、岩石の年代の測定にもジルコンは利用されています。
ジルコンの割れは地球の歴史を物語る
宝石に割れはあってはならないもので、割れはとても嫌われます。
私も確かにそう思いますが、ことジルコンに関しては例外です。
私個人のまったく変な考えですが、今まで述べたジルコンの特徴を知れば理解してくれる人も多いと思います。というのもジルコンは年代が経てば立つほど内部が破壊されていきます。従って緑系のジルコンはその最たるものです。
顕微鏡を覗くとその破壊により内部に面白い形の割れが生じています。
山形マークあり、鱗片状ありです。
ジルコンの山形マークの割れは、宝石の鑑定を勉強したことがある人なら必ず教わる特徴ですが、実際にはなかなか遭遇しません。
私はそのようなジルコンに出会った時、嬉しく思い地球の歴史を見ているような気になったりします。
まだまだ話はつきませんがジルコンの名誉回復のために、ご理解いただいたでしょうか?
人には名前負けと言う冗談めいた言い方がありますが、ジルコンはさしずめその逆のような気がします。
風信子と言う心地よい発音を持ったこの宝石は 名前の風信子の『風』のごとく。。。
そんな事どこ吹く風と地球の歴史に時を刻んでいるのかもしれません。
光と水で演出するオパール
光源の違いにより宝石の色が変わるアレキサンドライト。。。
猫の目のような光の帯を放つクリソベリルキャッツアイ。。。
3本の条線が交差した光を放つスタールビー、スターサファイア。。。
虹色の光の輝きを見せつけるオパール。。。
特徴を持った宝石たちの思わぬ光の演出は大変興味をそそります。
しかしまだまだ宝石の世界にも人間の世界と同じくとんでもない奴がいるのをご存知ですか?
思わず「何故?」と叫んでしまうほど興味深い奴(オパール)を紹介しましょう。
私が始めてその宝石に出会ったのは、雨の多い日でした。天気が悪いと湿気でじめじめと気持ちもめいってしまい、心から憂うつになりがちです。
そんな気分の中ふと机に目をやると不透明に近いはずだったホワイトオパールが、透明なオパール。。。ウォーターオパールに変わっていたのです。
宝石の世界、いや自然の創造というものは時として思いもよらないものを我々に提供してくれるものだとつくづく感心したしだいです。
このオパールは、ハイドロフェーンタイプと呼ばれ別名ミステリアスオパール、カメレオンオパール、マジックオパールなどと呼ばれてとても興味深い名前でよばれています。
光で自分を演出するオパール。。。
ファイアーオパール ウォーターオパール ホワイトオパール ブラックオパール
そしてさらに水分を加えることにより変身してしまう。。。
ハイドロフェーンオパール あたえられたその場所で。。。
輝く あたえられたその場所で。。。見事に演じる
スケートリンク。。。
プール。。。
競技場。。。舞台。。。ホラホラ変わってきました
いますね。。。
そんなやつ
水に入れてしばらくたったミステリアスオパールです。
写真上のオパールからあぶくが出てくるのがわかります。
そして、透明な姿になります。
水と空気が入れ替わっている様子が。。。
まるで呼吸をしているようですね。
『さぁ!!大きく息を吸ってミステリアスにいきましょう!!』
象牙・アイボリー
象牙(アイボリー)写真は神社の青空骨董市で見つけた象牙の聴診器です
古いものなので飴色しています
そのよこ(右)にあるのは象牙の先端部分です
専門家は「先」とか「ちょん先」とよんでいます
(黒ずんだ皮の部分と切断部分)
骨董屋のおじさんは「たいしたものではない」と思っていたのか
ただ同然で手に入れたのか。。。
思いのほか安く手に入りました
象牙で出来た聴診器は50歳以上の方は懐かしいのではないでしょうか?
一般の聴診器は胸にいきなり当てられると「ひやっ」としますが
象牙の聴診器は自然な感触でお医者さんに診てもらえます
自然なぬくもりをもったこの聴診器は時がたてばしぶい飴色に変色してゆきます
重みを持った時の積み重ねです
宝石は変質しないのが条件ですが。。。
こんな生き方もいいですね。 時を重ねるほどに。。。
自然に。。。渋く。。。象牙ってそんなやつです
緑泥石
緑泥石(柘榴石・仮晶)この石は12面あります。
鉱物の結晶はある決まった分類方法により六つにわけられます。
そのなかでこの12面体は等軸晶系という結晶系の代表の一つです。
この石はガーネットの結晶だったのですが。。。
その外観を残して、まったくこの結晶とは関係のない
緑泥石(クローライト)がのっとってしまいました。
つまり、中身が入れ替わっています。このことを、仮晶といいます。
むかし。。見た映画「転校生」みたいな
「わたしであって。。。わたしでない。。。」
鉱物の世界では色、硬さ、形などから分類しますが。。。
この場合、形から石を判断すると間違ってしまいます。
見た目は大事だけど。。。
それだけで、判断してはダメです。なにごとも。。。
水晶
山入水晶水晶の結晶です。
でも。。。
この水晶は普通の水晶とは、ちょっとちがいます。
水晶の中をのぞくと「ぼ~」っとした、もう一つ水晶があります。
山のように見えるので「山入水晶」といいます。
英語ではゴースト・クォーツです。
ゆうれいはいやですね。。。
山を持っている方が裕福に感じますものね。
この山を持つことになった原因は。。。一度成長がとまって。。。
もう一度成長したことによります。たくましさを感じますね。。。
クリアなほど品質の高い宝石ですが。。。
この水晶の内包物は成長をあきらめなかったあかしです。
「いいなぁ~こういうやつ」
半形真珠
半形真珠を分解しました。
左下が完成品です。
半形真珠の中身は真珠とは関係のない物質を充填してあります。
そして底の部分は白蝶貝を張り付けてあります。
べつに知らなくてもいいことなのですが。。。
知ることにより、付き合い方がわかります。
たとえば半形真珠は、ノリ留、ツキサシは苦手です。
このことを知らないとトラブルのもとになります。
でも、予算のわりに大きく楽しませてくれることを忘れてはいけません。
「加工はだめ、処理はだめ」などと、相手の短所ばかりを責めるのではなく、理解する事から始まる。。。
この気持ちが大切だと思います。
松茸水晶
この水晶。。。面白い結晶形をしています。
水晶の結晶にアメジストの結晶が覆いかぶさっている、 平行連晶の一種です。
その形から「松茸水晶」と呼ばれています。
ちなみに、この水晶は韓国産です。
石の世界でも松茸は韓国産が多いようです。。。
一つの形を成し遂げて。。。
そして、さらに大きく成長していく「松茸水晶・・・」
その形はユニークですが、「山入水晶」のたくましさとは違いなんか。。。
泥まみれのたくましさを感じます。
泥まみれでがんばっている。。。
無骨なあいつかな?
夫婦水晶
平らな水晶の結晶がひっついています。
このような「双子」の結晶を「双晶」といいます。
でも「双子」と言うより。。。
寄り添っていますから、「夫婦水晶」とよばれています。
ハート形をしていますから、「恋人水晶」かもしれませんね。
「いやいや。。。いつまでも恋人関係の夫婦。。。かな」
この水晶のように。。。
いつまでも。。。 ハートでいたいですね。
ちなみに。。
このような水晶は主に日本(山梨県・乙女鉱山、五島列島・奈留島が有名な産地)
で発見されるため「日本式双晶」とよばれています。
1905年ドイツのゴールド・シュミットが名付けました。
でも、それより約30年前の1874年ごろ。。
ドイツ人・モーニックは、「ハート形双晶」と発表していました。
日本から生まれた。。。
日本式「ハート」
寄り添う形は。。。
いつまでも。。。
大切に。。。
