透明度のよい半透明な宝石の鑑別
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ヒスイとメノウの違い

右の写真の検査石は見た感じメノウのように見えます。けれどもヒスイを買ったときのロットの中に入っていました。だからヒスイに間違いがないと思うのですが、ときどき他の石が、よく紛れ込んでいることがあるので検査してみました。
字が透き通って見えるほどの透明度のある石です。しかしダイアモンド、ルビーのような単結晶の宝石の透明感はありません。

ヒスイとメノウの小さな結晶の集まり
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まずは偏光器でのテストです。テストはダークポジション(偏光板を交差させた状態)で検査します。
検査石はどの方向に回転しても光を通し明るいままです。
これは複屈折性の微小な宝石の集合体だと考えられます。
(潜晶質cryptocrystalline 光学顕微鏡で識別できる小さな結晶)
(微晶質microcrystalline 顕微鏡で識別できる小さな結晶)
メノウもヒスイもそんな宝石です。
残念ながら区別はまだ出来ません。

今度は屈折率を計ります。

メモリは1.66を指しました。この結果ヒスイであることがわかります。

ヒスイとメノウの染色処理もあります。
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この宝石の場合は透明度が高く色が付いていないため、染色の可能性は考えなくてもいいですが、鑑別結果がヒスイで透明感のあまりよくない場合は、染色処理も考えなくてはいけません。

このように故意であってもなくても現地で紛れ込んでいることがあるので、怪しければ手間ですがこのようなテストをしなければなりません。

今回の宝石は透明度の高いヒスイの検査でしたが、結果がメノウであってもヒスイであっても、価格的にはショックを受ける差はもちろんありません。しかし、この宝石が緑色であればその差は冷や汗ものです。