<処理について>
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宝石は鉱物です。 鉱物は採掘されたそのままの形が一番いいコレクションです。その形が美しければそのものを見ていてもとても気分がいいものです。宝石も鉱物ですから自然が決めた形でうまれてきます。しかし、自然は感じますが、美しい光は放ちません。そこで人の手が入りカットが施されます。そのとき初めて鉱物が宝石へと生まれ変わります。
(写真は飯田孝一コレクションのアクアマリンの原石結晶です。見ているだけで不思議な世界へ行ってしまいます)

人の世界へ宝石が入り込むと人間は更なる美しさを求めます。美しさだけでなく宝石としての大事な条件である耐久性も求めます。結果、カットだけにとどまらずあらゆる手を加えてきます。その宝石の持ってうまれた欠点をうまく補う手が加えられます。数が限られていたジュエリーになる宝石が多くなります 特定の人間だけでなく多くの人が宝石を楽しむことが出来ます。しかし、粗悪な処理や加工は残念な感情が残ります。
カットだけの宝石は、希少性があります。しかし、多くの人が宝石を楽しむことはできません。あまりにも手を加えられた宝石は宝石としての呼び名に相応しいのか?
そこでエンハンスメント「改良」とトリートメント「処理」の言葉が登場しました。その結果、エンハンスメントは天然石としての称号を得ましたが、トリートメントは処理石の汚名をきせられました。エンハンスメイイトの宝石とトリートメントの宝石のとらわれ方に大きな差がありますが、そのボーダーラインは確実に存在するのでしょうか?

<宝石は永遠か?>
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『天然宝石は永遠のもの』子々孫々まで伝えたい。天然だから永遠の命を持った宝石があります。しかし、天然だからこそ寿命が早い宝石もあります。処理石だから寿命の短い宝石がありますが、処理石だから寿命を遅らすことができる宝石もあります。
写真は白い天然ヒスイに緑色をペインティングした安易な処理:耐久性がなく少しの衝撃で剥がれます)

宝石の個性は一つ一つ違うもの

多くの人の前でおなじ物語を話してもその状況は同じではありません。同じイメージで物語は進行していません。宝石はその個性に合わせて処理がなされています。少ない処理から多くの処理、そのボーダーラインは引けません。

エンハンスメント トリートメントは催眠の言葉

そんな言葉より個々の処理の特徴を良く考え理解しましょう。そして、個々の宝石の特徴と理解したうえで付き合っていけたらと思います。

  1. 天然宝石A— カットのみ
  2. 天然宝石B— 耐久性があり一般的な処置がなされた宝石
  3. 処置宝石—- 耐久性のためやむなく処置が必要な宝石
  4. 処理宝石—- 美しさ若しくは耐久性の処置が過度に施された宝石
  5. 模造宝石—- 本来の宝石に他の物質が加えられた宝石 若しくは全く違う宝石

上記の説明は私なりの考えで宝石により判断がわかれ勝手な分類の言葉とご理解ください。処理に関してはいろいろと悩むところがあり再度記述すべき事柄があれば記載したいと思います。

<<追記>>

着色処理の宝石について

ガラスは処理石ではなく模造宝石です。そして『張り合わせ宝石』は手間のかかった模造宝石です。